暇だったので、小樽に行ってきた。塩谷丸山登山を考えていたのだけれども、悪天候のため敢え無く断念。
昼はウイングベイ小樽に車を入れて、中に入っている「小樽なると屋」でザンギ定食を食べる。実は、なると屋の鶏肉を食べるのは初めてだった。確かに、ジューシーで美味しいとは思うけれども、やはり私はケンタッキーのようなスパイシーな鶏肉が好きである。
この、昔のマイカル小樽、今はイオンが入っている「長さ600メートル」の巨大な建物の裏には、済生会小樽病院が新築されていたので、外来だけ・というか玄関先だけ見物させてもらう。昔は、あたりまえだが、老朽化したヒドイ建物だったけれども、立派な建物になっていた。
運河公園などを散策しているうちに夕方となり、さてどうしようかと迷う。
翌日になれば天気は回復しているかもしれないので、一度も泊まったことのない「オスパ」という温泉施設に泊まることにした。
この温泉施設は小樽フェリー乗り場のすぐ近くにある。小樽からフェリーに乗ったことは何十回とあるけれども、この温泉施設に入ったことは一度もなかった。それはそうである、札幌に住んでいるのだからフェリーの時間に合わせて家を出ることができる。この小樽の温泉施設は本州に戻る人がフェリーの時間まで過ごすのによく使われていて(逆に、フェリーで小樽に夕方や夜中に着いた人が翌朝まで時間を潰すのにも使われている)、小樽から発つ北海道人が使うことはないのである。
この温泉施設は古いけれども、きれいに掃除がされていて、従業員の雰囲気もいい。何より良いのは、夜通し風呂に入ることができるということで、夜中の3時でも4時でも広い温泉と露天風呂に浸かることができる。たとえば、よく似た「宿泊できる温泉施設」に『ほのか』があるけれども、ここは夜中3時から早朝6時までは入浴はできない、掃除という理由で3時間も風呂からシャットアウトされるのである。
それを考えると、この『オスパ』はとても利用しやすい。私も朝4時に目が醒めて風呂にはいったけれども、大浴場も露天風呂もずっと貸切状態だった。
ただし、この施設に私が行くことは二度とないと思う、少なくとも泊まりには。
二階の広間で眠るのだけれども、そして500円でマットやシーツ、毛布と枕を借りることができていいのだけれども、ともかくも騒音が苦痛なのである。
騒音といっても、周囲の人間たちがたてる騒音ではない。私が泊まった夜も10数人が寝ていたけれども、人間が立てる騒音など気にならないほど小さなものだった。
広間のすぐ近くに、昼間は料理を作るキッチンがある。そこではビールサーバーも置いてあるし、ソフトクリームサーバーも置いてある。昼間はおばさん一人が中に立っていて働いている。午後8時頃までやっていて、その時間を過ぎると鉄格子(?)のガードが引かれて中は無人となる。しかし、ソフトクリームサーバーは電源を落とさない。電源を落とせば、中のソフトクリームが溶けてしまうからだろう、24時間365日、壊れるまで・お役御免となるまで、このサーバーは「唸り続けている」のである。
日世ソフトクリームサーバー、というものらしい。業界ではトップクラス(?)の優れものらしいけれども、もちろん、この機械が立てる騒音については何の配慮もなされていない。美味しいソフトクリームを作るためならどんな騒音も我慢しろ、というのがこの機械の主張なのである。
というわけで、間断なく、突然、ゴジラの叫び声のような騒音がキッチンから響き、それが30秒くらい続いて、また1分くらい休んでゴジラの叫び声が鳴り響き‥‥以下同様。
不思議だったのは・不思議ではないのかもしれないが、私以外の誰も、そのゴジラのソフトクリームサーバーの騒音を気にかけてはいないように見受けられたことである。機械を止めてくれないかと温泉の人に頼もうかと思ったけれども、考えてみれば中のソフトクリームが溶けてしまえばもう使えないのだろうし、第一、他の誰も気にしていない騒音をたったひとりのおかしなオヤジ(私のこと)のために止めることは決してない、のは明らかである。
幸いなことに、ショルダーバックの中に耳栓があった。これは旅行で飛行機に乗ったときに、周囲のうるさい若者やおばさんの笑い声叫び声話し声をシャットアウトするための必需品として常時入れてあるもの。この耳栓を使うと、ほんの少しゴジラソフトサーバーが小さな騒音になるのでこれを使った。そして、どうにか眠ることができたのだった。
朝起きると、4、5人いた若いライダーたちは疾うに旅立っていた。きっと北海道でツーリングすることを楽しみにやってきていたのだろう。
私は温泉施設を出て、近くの『すき家』に入り、朝食を取った。雨は殆ど降っていなかったので、店を出てから赤岩周辺の探勝路を少し歩き、昼になってから市街に戻ってカレーやに入った。ここである。クレイジースパイス小樽本店。
スープカレーはルーを溶かして薄めたようなコクのないものだったし、第一、ナンがヒドイ。ところどころdoughのままで、というかdoughのままのところがとても多くて、今まで食べた中で最低のナン。写真で見ても理解できると思う。ここがグーグルマップで評価数326で星4.2だというのだから、グーグルマップの評価を安易に信じてはいけないということの実例のようなところである。
帰り、近くのマックスバリュー手宮店の中に入っている「なると屋」で、近所の知り合いのために鶏の半身揚げとザンギを買ったのだけれども、その小さな店の若い女性店員が暗い雰囲気のオーラ全開だったのには驚いた。接客業をしている人にはいろいろな人がいるものだと感じ入ってしまった。
『オスパ』の休憩室兼食堂には、10時近くまで初老の夫婦が座ってテレビを見ていた。彼らが手にデイサックを手にして出ていってしまった後、駐車場に中型のキャンピングカーが泊まっていたことを思い出した。おそらく、本州からやってきたキャンパーなのか、それともこれからフェリーに乗って本州に行く夫婦なのだろう。こうして、ウクライナ危機や新型コロナ危機の中を、楽しく二人で生きていっている、そんな男と女も大勢いるのだろうな、と思った。
休憩室には、60歳くらいの小太りの男性がいた。
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