2016年まではロワジールホテル函館として運営されていた 現フォーポインツホテルバイシェラトン函館 |
ラビスタ函館ベイの隣には、いつの間にかコメダ珈琲店ができていた |
フォーポインツバイシェラトン函館の朝食(洋食) |
フォーポインツバイシェラトン函館の朝食(和食) |
福島町役場の二階に飾られている千代の富士 |
新島襄も自分が設立した大学が 女子学生を騙して売春させるキャンパスとなっていることに 泣いていることだろう |
福島町の居酒屋『留』で取った昼食 |
福島町の墓地 |
函館駅で買ったお弁当 |
福島町の墓地で こうした墓石のデザインは珍しい |
珍しく、というか、初めてJRを使って函館を往復。函館で2泊、松前で2泊。函館では、五稜郭近くのSホテル。松前は矢野旅館に宿泊した。両方とも知り合いが手配してくれた宿で、私が選んだものではない。
Sホテルの部屋(402号)では、常時天井から水の流れる音がした。エアコンの送風口からはっきり聞こえるので、何かそれと関係した音なのか、まるで大きなマンションの総下水管の真下にでもいるかのような感覚。もちろん、眠れるような状態ではないのだけれども、そしてフロントに苦情を言って部屋を替えてもらってもいいレベルの騒音だったのだけれども、知り合いが手配してくれた手前、それも言い出しずらいので我慢した。
ふと、松尾芭蕉のこの俳句が頭に浮かんできた。
〈 蚤虱馬の尿する枕もと 〉
ずーっと馬の尿の音に襲われている感覚に囚われた。
古いホテルなので、水回りがおかしくなっているのだろう。グーグルマップでこのホテルのクチコミを読むと、水回りの音がうるさい、というものもあったのだけれども、かといって部屋を替えてもらったというわけでもなさそうである。つまり、他の人には「我慢可能な」騒音なのかもしれず、だとしたら私も我慢してみなければならないだろう。
ここは一つ、松尾芭蕉の「蚤虱馬の尿」を追体験するつもりで頑張ろう、と思った。
しかし、やはり、我慢できないほどの騒音が続く。あいにく耳栓を持ってきていない。ひょっとしたらコンビニにあるかもしれないと思い、夜11時頃になって服を着て外出する。
二軒回ったが、コンビニでは耳栓など売っていない。代わりに酒を買ってきて、酔って眠ることにした。こんなことをしていたなら、また痛風発作を起こすかもしれないという不安に少し脅えながら酒を飲み、水回りの騒音のもと、酔って眠りに落ちた。
翌日は、ふと思いついて、ステレオイヤフォン(列車の中でポータブルCDプレイヤーを使っていた)を耳に入れてみた。すると、殆どといっていいほど、水回りの騒音は聞こえなくなり、快適に眠ることができた。どうして前の晩、こんな単純なことに気づかなかったのだろうと自分を詰った。
松前の矢野旅館は地元では一番大きくて有名な温泉旅館である。ただし、内風呂は深さ温度共に良かったのだけれども、露天風呂の湯船がとても浅く、しかも湯温がぬるかった。松前の桜見物に観光客が大勢訪れて、旅行会社も団体旅行客を連れてくるのだけれども、松前町ではほとんど宿泊することがないのが解るような気がした。
矢野旅館では食事を取らず、旅館の前にあるセイコーマートで弁当を買って食べる。適当なレストランがこの町には無いので仕方ない。セイコーマートのいわゆるコンビニ弁当がこんなに不味いとは知らなかった。特に、あんかけやきそば、と銘打った食物は今まで食べたこの類のもので最も不味かった。セイコーマートの社長はこれをヒトクチでも食べたことがあるのだろうか。
昼食は、福島町にある「居酒屋留」(美味しかった)、と松前町にある「手打ちそば おぐら」(実直そうな老夫婦がやっていた)で食べた。
福島町の町役場の中には、円空仏が展示されているので、それを見物。
この町役場の二階には、全勝優勝したときの千代の富士(この町の出身)の絵が飾られていた。あの、国技館の天井に飾られていた絵である。
役場から歩いてほんの3、4分のところには墓地が続いている。そこを見物。墓石に桜の絵を彫り込んだだけの(横に確か何々家と小さく彫ってはいたと思う)ものや、大きな犬の彫像を据えたものなどがあって見ていて飽きなかった。
函館の西波止場に「さきいか」を買いに行ったのだけれども、お目当のものは売っていなかった。保存料を使わない、賞味期限が1週間くらいの「さきいか」を製造販売している店があったのだけれども、機械だけは見えたがブースの中はもぬけの殻で、棚に売っていたさきいかは、どれも保存料をたっぷり使った半年は「賞味期限」の続くものばかりだった。
9時の開店と同時に西波止場の広い(広大な)マルシェに入ったけれども、買い物客は私一人だけだった。武漢ウイルス禍以前は、いつ行ってみても100人200人の人で賑わっていたのに、ゴーストタウンのような雰囲気だった。
観光業が壊滅的ダメージを受けているというのに、ベイエリアには幾つもの新しいホテルができていた。ラビスタ函館ベイの下を歩いて函館駅に向かった。
このホテルには一度だけ泊まったことがある。朝食時間が始まる前には、何十人もの宿泊客が列に並び、その客たちをまるで牧場の牛たちのように整列させて並ばせていた従業員を思い出す。慣れた雰囲気だった。時間になると、血気だったそれらの客たちがほとんど一斉に会場へと雪崩れ込む。イクラやその他の海産物などを取り囲み、地獄の『餓鬼たち』のような顔つきをして飽食へと突き進む。そう、本当に、『餓鬼たち』なのである。そして何よりもショックを受けるのは、自分自身もその『餓鬼たち』の一人、あるいは一匹になってしまっていることに気づかされることである。
ということで、ラビスタ函館ベイには二度と行かない。
このホテルが悪い訳ではない。ああした朝食会場の地獄風景が嫌なのである。
ただし、このホテルの温泉は全く勧められない。
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